楮を自家栽培しています。
15年前この幡多郡に越してきた頃は、
畑での栽培が困難で山に自生する楮を採取して漉いていました。
かつては楮の産地であった幡多地方の山には雑草のごとく楮が生えています。
6年間山で採ることで、楮の本来の性質や好む地質などを知ることができました。
しかし、40歳を前に急斜面の山、ジャングルのような河原で採ることに体力的な限界を感じ、
6年目で断念することを決意します。
決意して山から下ると、眼下に「楮畑」が広がっています。
毎年通っていた所なのに気がつかなかった。
聞けば、田んぼだったところに楮が生えて邪魔だから刈っていたのだが、
この2年ほどやってなかったため目に付く高さになっていたのです。
「草刈りしてくれるならいくらでもどうぞ」という地主のおばちゃんの返事。
紙漉をやめる決意をした数分後の出来事でした。
神様の「まだあきらめるのは早い」という声そのものの畑でした。
こうして、楮の畑2反半という原料確保が整います。
この畑は神様からの贈り物です。
だから、除草剤や化学肥料は一切使わず、ひたすら草刈りして8年目を越えました。
その他に麻、幡多地方に自生する雁皮、稲なども紙にしていきます。
和紙の三大原料のひとつ
高知県の西南地域の幡多地方はかつては優良な品質を算出していた土地です。
70代から上の方は、昔栽培して原料商に卸してた話しをよくしてくれます。
写真左から
1) 春先(5月)の草刈り。年間9回位草刈りに入ります。
2) 春先、株に対して適量の枝を残しあとは芽をつみ取ります。
伸びた枝の脇からでる芽もつみ取ります。1本で太くするためです。この作業は秋口まで続きます。
3) 2008年8月末、豊作の年ですでに3メートルを超えています。
戦前は日本の農作物としてなくてはならない作物でした。
現在は栽培免許制度があり作ることは難しいのです。
ここ数年、バイオマスの観点からとても有用な植物であることが認められ初めています。
大麻からは2万5種もの製品が得られ、多段階活用(何度も使い回すことができる)ができ
無駄のない植物でもあります。石油資源の対局にある植物です。
紙にするのは大変難しいのですが、(繊維が強靱で長い)独特の風合いを持つ紙になります。
楮を少し混ぜることによって漉きやすくなります。
一般的に「麻紙」と言われてるのは苧麻で、大麻とは全く別の植物です。
ハレハレ本舗では、ドイツ産や中国産のオーガニックヘンプの精麻を使用して漉いています。
壁紙や障子などの建材の紙としても優れた特徴を持ちます。
おそらく日本で現在大麻の紙を漉いてるところは2〜3軒ではないかと思われます。
古くから日本の神事には欠かせなかった大麻。
バイオマスという新しい観点から復活しつつある大麻で紙を漉くことも
大事な取り組みのひとつと考えます。
幡多地域には雁皮が自生しています。
楮と違って栽培が難しく、山で採取します。
楮のように蒸さずに生で皮を剥ぐことができることから
最盛期は子供達もお小遣い稼ぎで採ったと言います。
楮がかみでは男性に喩えられ、雁皮はその艶やかな地合から女性に喩えられます。
この雁皮100%から楮に混ぜて/m版画に適した紙も漉いています。
       
〈稲〉 〈筍皮〉 〈オクラ〉
子供の頃あったわら半紙。
稲の紙ですね。
漂白などを一切せず、
あの懐かしい色そのままに
漉いています。
高知は竹の種類が豊富です。
この筍皮でも漉きます。
実の収穫が終わった茎を
蒸し剥ぎします。
風合いは麻に似ています。
〈さとうきび〉 〈桑〉 〈蓮〉
ここ黒潮町は
サトウキビからとる
黒砂糖の産地です。
絞りかすの繊維で漉きます。
養蚕の盛んだった名残で
多く自生しています。
つやのある
独特の紙になります。
茎を使います。
緑色の茎の中には
あらゆる色が含まれていて、
紙にしたとき
とても美しいです。
葉は染料としても使います。
*稲〜蓮の紙は原料採取の時期が限られており常時在庫できないものもあります。ご了承下さい。